Executive Insight for 2027/28
株式会社NTTデータ
企業研究・選考対策 統合分析
情報の完全網羅。Deep Researchによる「社会インフラの守護者」の真実と、内定を勝ち取るためのロジック。
序論:本レポートの目的と
業界におけるNTTデータの位置付け
本レポートは、2027年および2028年卒業予定の就職活動生を対象に、国内最大手のシステムインテグレーター(SIer)である株式会社NTTデータグループ(以下、NTTデータ)の企業構造、事業戦略、競合優位性、リスク要因、および選考プロセスにおける具体的対策を網羅的に分析したものである。急速に進化するデジタルトランスフォーメーション(DX)市場において、NTTデータが果たす役割は「社会インフラの守護者」と「グローバルイノベーター」という二つの側面を持っており、これらを深く理解することが内定獲得への必須条件となる。
日本のIT業界において、NTTデータは特別な存在である。旧日本電信電話公社(電電公社)のデータ通信本部を母体とし、分社化・民営化を経て現在に至る歴史的背景は、同社に官公庁や金融機関といった「国家機能」に直結する巨大システムの構築・運用を委ねられる唯一無二の信頼性をもたらした。
一方で、近年のNTTデータは、積極的な海外M&A(合併・買収)を通じて売上高の過半を海外市場で稼ぎ出すグローバル企業へと変貌を遂げている。
就職活動生にとって、NTTデータを理解することは、単に一企業の知識を得ることにとどまらず、日本のIT産業全体の構造と、グローバル市場における日系IT企業の挑戦の歴史を理解することと同義である。本章以降では、財務データに基づく客観的な分析と、実際のトラブル事例や最新のAI戦略に基づく定性的な評価を交え、同社の実像を解き明かしていく。
ビジネスモデルと収益構造の深層分析
NTTデータのビジネスモデルは、表面的には「システム開発」と「運用・保守」であるが、その本質は顧客のビジネスプロセスそのものを長期的に支える「ストック型ビジネス」の堅牢さにある。ここでは、同社の収益を生み出すメカニズムを詳細に分解する。
2.1 収益モデルの二重構造:フローとストック
SIerのビジネスは大きく「フロー(構築)」と「ストック(運用・保守)」に分類されるが、NTTデータはこのバランスが極めて優れている点が特徴である。
大規模開発(フロー)
官公庁の行政システム、銀行の勘定系システム、企業の基幹業務システムなど、数年単位かつ数百億円規模のプロジェクトを受注する。これらは単発の売上に見えるが、システムは一度稼働すると、法改正や業務変更に伴う改修(追加開発)が恒常的に発生するため、実質的には長期的な収益源となる。
長期運用・アウトソーシング(ストック)
NTTデータの真の強みはここにある。一度構築したシステムの運用・保守契約は、5年、10年といった長期スパンで締結されることが多い。特に、金融機関の決済インフラ(全銀システム、CAFISなど)や、官公庁の社会保障システムは、24時間365日の稼働が求められ、他社への乗り換え(リプレイス)が極めて困難な「ベンダーロックイン」の状態になりやすい。これが、不況下でも揺るがない同社の安定収益基盤(ベースロード)を形成している。
2.2 事業セグメント別分析と収益性
2024年度から2025年度にかけての財務データを基に、主要な事業セグメントの状況を分析する。
| セグメント | 主要顧客・領域 | 特徴と収益性分析 |
|---|---|---|
| 公共・社会基盤 (Public & Social Infrastructure) |
政府、自治体、医療、通信、電力 | 「国の仕組み」そのもの。デジタル庁発足以降、ガバメントクラウドへの移行などDX需要は旺盛だが、入札制度による価格競争圧力が働きやすく、利益率は必ずしも高くない。しかし、圧倒的なシェアと絶対的な信頼性が参入障壁となっている。 |
| 金融 (Financial) |
銀行、保険、証券、決済インフラ | 高収益の柱。ミッションクリティカル性が極めて高く、品質への要求水準も最高レベル。全銀システムやCAFISといった決済プラットフォームビジネスは、利用料収入(トランザクション課金)モデルを含み、安定かつ高収益を生み出す。 |
| 法人・ソリューション (Enterprise & Solutions) |
製造、流通、サービス、ペイメント | 成長ドライバー。企業のビジネス変革(DX)を支援する領域。従来の受託開発に加え、コンサルティング領域への進出を強化している。顧客の業績に連動しやすいため、景気変動の影響を受けやすい側面もある。 |
| グローバル (Global) |
北米、EMEA、APAC、中南米 | 売上の過半を占める拡大領域。M&Aで獲得した海外企業の統合が進む。北米や欧州では高付加価値化が進む一方、ブランド統合コストや人材獲得競争による人件費高騰が利益率を圧迫する要因となっている。 |
💡 アナリスト・インサイト
2025年3月期の業績予想において、売上高は4兆4,300億円、営業利益は3,360億円(営業利益率約7.6%)と見込まれている。売上規模の拡大に対し、利益率が7%台にとどまっている点は、競合他社(後述のNRIなど)と比較した際の明確な課題である。これは、低採算の公共案件の割合や、海外事業における構造改革コスト(PMIプロセス)が影響していると推察される。
2.3 ビジネスモデルの変革:「作る」から「創る」へ
従来型のSIerモデル(顧客の要望通りにシステムを作る)からの脱却が急務となっている。NTTデータは、顧客と共に新規ビジネスを立ち上げ、その収益をシェアする「レベニューシェア型」や、自社の知財・ソフトウェアを提供する「アセットベース型」への転換を進めている。
事例:貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」
業界横断型のプラットフォームビジネスを主導し、システムの所有権をNTTデータ側が持ちながら、サービス利用料で収益を得るモデルへのシフトを加速している。これは、人月単価(エンジニアの稼働時間)に依存しない収益モデルの確立を意味する。
中期経営計画と将来戦略(2026-2030年の展望)
NTTデータの戦略を理解するには、「Global Stages」という長期的なロードマップを把握する必要がある。現在は「Global 3rd Stage」の総仕上げから、次なるフェーズへの移行期にある。
3.1 Global Strategyの変遷
Global 1st Stage (~2015年頃)
「グローバルカバレッジの拡大」。海外企業の買収により、世界中でサービス提供できる体制(拠点)を整備した時期。
Global 2nd Stage (~2018年頃)
「グローバルブランドの確立」。買収した企業のブランドを「NTT DATA」に統一し、認知度向上を図った時期。
Global 3rd Stage (~2025年)
「Trusted Global Innovator」。グローバルでの品質向上と、デジタル技術によるイノベーション創出を両立させ、信頼されるパートナーとしての地位を確立する時期。
3.2 2026年以降の戦略的焦点:AIとサステナビリティ
2026年現在、同社が最も注力しているのは「AIガバナンス」と「セキュリティ」を融合させた新たな価値提供である。
3.2.1 Responsible & Secure AI 戦略
生成AIの普及に伴い、企業は「AIを使いたいが、リスク(情報漏洩、誤回答、著作権侵害)が怖い」というジレンマに陥っている。NTTデータは、この課題解決をビジネスチャンスと捉え、2026年1月に「Responsible & Secure AI」サービスを本格展開した。
- AIガバナンスコンサルティング: 組織・人・ルールに潜むリスクを可視化し、ガイドラインを策定。
- AI Assurance: AIモデルの脆弱性診断、Red Team(攻撃者視点でのテスト)による安全性検証。
3.2.2 サステナビリティ経営
環境負荷低減(Green)も重要なテーマである。データセンターの省電力化や、IT技術を活用した顧客のカーボンニュートラル支援(Green by IT)を推進している。これは欧州市場での入札要件として必須化しており、グローバルビジネスを継続するための「参加資格」とも言える。
競合他社比較分析(詳細版)
就職活動において、面接官が最も厳しく追及するのが「なぜ他社ではなくNTTデータなのか」という点である。ここでは、主要競合との構造的な違いを比較する。
4.1 競合比較マトリクス
| 比較項目 | NTTデータ | NRI (野村総研) | アクセンチュア | 富士通 / NEC |
|---|---|---|---|---|
| オリジン | 通信キャリア(電電公社) インフラ構築のDNA |
証券会社(野村證券) 金融と調査のDNA |
会計事務所・監査法人 経営コンサルのDNA |
通信機器・ハードウェアメーカー 製造のDNA |
| 強み | 「圧倒的規模と公共性」 官公庁・金融インフラに絶対的強み。中立性(ハードを持たない)。 |
「高収益と専門性」 金融・流通に特化。コンサル×ITの一体提供。利益率約16%。 |
「変革スピードと戦略」 経営戦略から実行まで。デジタルマーケティング。実力主義。 |
「ハード×ソフト」 サーバーやスパコン等のハードウェア技術を保有。独自技術。 |
| 弱み | 意思決定の遅さ、組織の縦割り、利益率の低さ(約7%)。 | グローバル展開の規模(NTTデータに比べ限定的)。顧客業種の偏り。 | 大規模レガシーシステムの長期保守・運用における泥臭い対応力。 | ハードウェア事業の重荷(分社化等で改善中だが)、レガシー色の強さ。 |
| 社風 | 「穏やか・協調」 「いい人」が多い。長期育成。ワークライフバランス重視。 |
「論理的・精鋭」 プロフェッショナル志向。高年収だが激務の側面も。 |
「ドライ・成長」 Up or Out(昇進か退職か)の文化(緩和傾向だが根底にある)。 |
「伝統的・変革中」 年功序列が残るが、ジョブ型導入など急ピッチで変革中。 |
| 待遇 | 安定高年収+手厚い福利厚生(住宅補助等)。 | 業界最高水準の給与だが、住宅補助等の期間制限あり。 | 実力連動型。ベース給与は高いが、日系的な手当は薄い。 | ジョブ型への移行により、若手でも高年収が可能になりつつある。 |
4.2 対 NRI(野村総合研究所)
NRIは「利益の質」を重視する。少数精鋭で高付加価値な案件にリソースを集中させるため、営業利益率が16%台と極めて高い。一方、NTTデータは「社会責任と規模」を重視する。利益率が低くても、国民生活に不可欠なインフラシステムであれば受託する責務を負っている。
4.3 対 アクセンチュア
アクセンチュアは「破壊と創造」を得意とする。既存の枠組みを壊し、ゼロベースで新しいビジネスモデルを構築する提案力が強みである。対してNTTデータは「調和と進化」を得意とする。日本の複雑な商習慣や既存システム(レガシー)を深く理解し、それらを止めずに段階的にモダナイズ(近代化)していく能力に長けている。
リスク情報と信頼性への取り組み(重要トピック)
企業研究において、過去の失敗やリスクを知ることは、その企業の「本質的な課題」と「再生への努力」を理解するために不可欠である。特に、社会インフラを担うNTTデータにとって、システム障害は最大の経営リスクである。
5.1 全銀システム障害の衝撃(2023年10月)
2023年10月、日本の銀行間決済を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」において大規模障害が発生した。これは1973年の稼働開始以来、初めて顧客影響(振込不能)を及ぼした歴史的なインシデントであり、NTTデータの技術的信頼を揺るがす事態となった。
- 事象の概要: 中継コンピュータ(RCシリーズ)の更改作業において、メモリ破損およびプログラムの不具合が発生。さらに、異常検知後の復旧判断に時間を要し、影響が拡大した。
- 構造的な原因: 「失敗しない」という過信が、逆説的に「障害発生時の対応訓練」の形骸化や、想定外の事態への想像力の欠如を招いた。
- 再発防止策と現在: 「システム総点検タスクフォース」を設置し、技術面だけでなく、組織風土や人間心理を含めた抜本的な見直しを行っている。
5.2 NTT Com データ侵害事案(2025年2月)
2025年2月、グループ会社であるNTTコミュニケーションズにおいて、約1万8,000社の顧客情報に関連するデータ侵害が発覚した。NTTデータグループ全体として、セキュリティガバナンスの強化が急務であることを示している。前述の「Responsible & Secure AI」サービスの展開は、こうしたグループ内のセキュリティ強化の流れとも連動している。
5.3 2026年のセキュリティ脅威動向
NTTデータは2026年の予測として、ランサムウェア攻撃の高度化に加え、AIを悪用したサイバー攻撃が現実的な脅威になると警告している。特に、仮想化基盤を狙った攻撃や、AIによるフィッシングメールの精巧化が懸念されており、同社のセキュリティ事業の重要性は今後ますます高まると予想される。
社風、組織風土、人材育成制度の現実
6.1 社風:多様性の中の「NTTらしさ」
堅実、真面目、ドキュメント重視、スーツ着用率高め。ミスが許されないプレッシャーがあるが、社会貢献の実感は強い。
カジュアル、フレックス、私服勤務、アジャイル開発。新しい技術への感度が高く、比較的フラットな雰囲気。
「協調性」と「優しさ」が根底にある。外資系のように個人の成果だけでドライに評価されることは少なく、チームでの貢献やプロセスが評価される。ワークライフバランスは業界内でも高水準。
6.2 評価制度とキャリアパス
- テクニカルグレード (TG) 制度 高度な専門性を持つエンジニアを管理職と同等以上の処遇で遇する制度。ADP (Advanced Professional) や TL (Technical Lead) といった認定を受けることで、現場で技術を極めながら高年収を得ることが可能。
- 公募制度 社内公募により、部署を異動するチャンスがある。SI開発からコンサルティング部門へ、あるいは国内事業からグローバル事業への異動も制度上は可能。
6.3 福利厚生と待遇
住宅補助: 独身者や賃貸居住者に対して月額数万円単位の補助があり、可処分所得を押し上げる大きな要因となっている(外資にはないメリット)。
研修制度: 「人を育てる」文化は根強く、IT未経験者でもプログラミングやシステム設計の基礎を徹底的に叩き込まれる。
選考プロセスと具体的対策(完全攻略ガイド)
7.1 Webテスト・適性検査対策
形式: 年度により異なるが、SPI(テストセンター)、TG-WEB、玉手箱などが採用される傾向。SPIの高得点獲得は必須条件。総合商社や戦略コンサル志望層と競合するため、言語・非言語ともに8割以上の正答率を目指すべき。
7.2 エントリーシート (ES) 攻略
狙い: SIer業務は合意形成の連続。「調整力」「粘り強さ」が見られる。
対策: 「俺が引っ張った」という独善的なエピソードよりも、「周囲の意見を聞き、課題を特定し、泥臭く解決に導いた」というサーバントリーダーシップのエピソードが好まれる。
「ITスキルを身につけたい(会社は学校ではない)」「社会を便利にしたい(抽象的すぎる)」
具体的な社会課題を挙げ、NTTデータのアセット(全銀、マイナンバー等)を掛け合わせてどう解決するかを記述。
7.3 面接対策:難問・奇問への切り返しロジック
7.4 逆質問集(面接官の心に刺さる質問)
「中期経営計画で『Global 3rd Stage』を掲げておられますが、現場レベルでの海外拠点とのナレッジ共有や人材交流は、具体的にどの程度の頻度で行われているのでしょうか?」
「2026年1月発表の『Responsible & Secure AI』サービスは素晴らしい戦略だと感じました。若手社員には、技術力に加え、こうしたAI倫理や法規制の知見も求められるようになるのでしょうか?」
「御社は品質を重視されていますが、DXにはスピードも求められます。現場では『品質』と『スピード』のバランスをどのように取っているのでしょうか? 具体的な工夫があれば教えてください。」
「テクニカルグレード制度に魅力を感じています。実際にPMとして経験を積んだ後に、技術スペシャリストの道へキャリアチェンジされる方は多いのでしょうか?」
8. 結論:NTTデータを志望する学生への最終アドバイス
NTTデータは、かつてない変革の時期にある。「安定した大企業」というイメージだけで入社すると、グローバル競争の激しさや、高度な品質要求のプレッシャーにギャップを感じるかもしれない。しかし、「日本のデジタル社会を背負う」という気概と、「世界で戦う」という野心を持つ学生にとっては、これ以上ないフィールドである。
内定を勝ち取るための3つの主張
- ✔ 「信頼」への共感: 社会インフラを支える重責から逃げない覚悟。
- ✔ 「変革」への意志: 既存の枠組みを尊重しつつ、泥臭く変えていく粘り強さ。
- ✔ 「チーム」への貢献: 個人の手柄よりも、組織全体の成功を優先できる人間性。
本レポートで提示した財務データ、リスク事例、戦略情報を武器に、
表面的な企業研究を超えた「プロフェッショナルな対話」を面接の場で展開してほしい。健闘を祈る。
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